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上中 康司

潮流

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次なるテーマ株を探せ!~親子上場解消、TOBについて(その4)~

これまで、親子上場解消に関する話を解説してきました。

今年はこのテーマが市場で注目されるものと考えられます。

今回は、親子上場解消とTOBを狙った投資法について考えたいと思います。 親子上場の解消とTOBが発表されると株 …

これまで、親子上場解消に関する話を解説してきました。
今年はこのテーマが市場で注目されるものと考えられます。
今回は、親子上場解消とTOBを狙った投資法について考えたいと思います。

 

親子上場の解消とTOBが発表されると株価はどうなるのか

 

前回は、親子上場をめぐる東証の市場改革と、それに対する各上場企業の動き、そして、親子上場が多い業界の銘柄について取り上げました。
親子上場の解消は未来投資会議でも取り上げられるなど、国策の一つになっています。
これまでに何度も書いたように、今後、親子上場解消を巡る動きは活発化するでしょう。
親子上場の解消が発表された時、我々投資家はどのように動くべきでしょうか?
そこで、つい最近の動きを確認してみたいと思います。

 

前田建設工業は1月20日に同社筆頭株主の前田道路に対し、1株3950円でTOBを行うことを発表しました。
前田建設工業は前田道路の株式の24.685を占めていますが、TOBで最大の26.32%を取得し、建設工事での舗装工事の受注や発注を中心とする協業体制を強め、連結子会社化したい計画です。
つまり、総合インフラサービス企業グループをこのTOBにより実現したい方針なのです。
一方、前田道路は前田建設工業の提案に対しては反対でした。
というのも、前田建設工業向けの売上高は全体の1%程度で、前田建設工業が言うような相乗効果が自社には見込めないからです。
両社の再三の話し合いが物別れに終わったため、前田建設がTOBを行うと発表するに至りました。

 

この発表を受け、週明けの20日の前田建設工業と前田道路の株価は前田道路株が前週末比19%高のストップ高で取引を終え、前田建設工業株は一時前週末比9.5%高をつける場面もあるなど、急騰しました。

 

【前田建設工業】

【前田道路】

それだけでなく、NIPPOや日本道路など、道路関連株も急騰したのです。

【NIPPO】

【日本道路】

なお、前田道路は業界最大手のNIPPOとの資本業務提携に向けた協議を始めることを2月27日に発表していますが、それより前の1月20日の時点で、思惑買いが入ったということになります。

 

親子上場解消とTOBを狙った投資法とは?

 

このように、親子上場の解消とTOBに関する発表があると、株価は大きく動きます。
基本的に市場はポジティブな反応を示すため、それ以前から買い集めておきたい、というのが、多くの投資家が考えるところではないでしょうか。
このような、親子上場の解消とそれに伴う親会社または関連会社からのTOBを期待した待ち伏せ作戦を行うには、どうすれば良いでしょうか?

 

まず一つの方法は、先週書いたとおり、親会社と子会社がどちらも上場している企業をピックアップする、というものです。
今のように相場の地合いが悪い時にこそ安値で買い集めておき、親子上場の解消やTOBの発表を待つのです。
そのためにも、親会社により自社株を大量保有されてしまっている子会社の株を探すのは有効な方法であると言えるでしょう。
特に業界再編が進んでいる鉄鋼業界や電機業界、自動車業界には要注目です。

これ以外に注目したいのが、子会社が親会社の時価総額を逆転しているか、あるいはほとんど同じくらいとなっているケースや、子会社がグループ全体の経営活動に重要な影響力を持つ固定資産を持っているケースです。
このような会社は、アクティビスト・ファンドの買収対象になりやすいからです。
例えば、パソナグループとその子会社のベネフィット・ワンが、かつてこれに該当しました。
2017年末にパソナグループに対し、当時第4位の大株主だった香港籍のアクティビスト・ファンドであるオアシス・インベストメントが株主提案を行ったのです。

このように、今後親子上場解消や、TOBが発表されやすい企業の暴騰を狙うには、安値で買い集めておき、待ち伏せする作戦が、最も簡単な方法ではないかと考えられます。
特に、先ほど紹介した、アクティビスト・ファンドが狙いやすい銘柄については、配当性向が高く、グループ内での取引があることから、売上についても安定しているところが多いです。
そのため、長期間保有した際に、株価が下落することはあっても、倒産するレベルまで業績が悪化することはないでしょう。配当性向が高いのですから、インカムゲインを狙うこともできます。

単純な方法ではありますが、投資で利益を出している人ほど、意外にも単純明快な手法をひたすら実践していることが多いように思います。
この方法は長期戦にはなりますが、変に難しい手法をあれこれ試すよりも取り組みやすく、株式投資初心者の方でも試しやすいのがメリットです。
「待てば海路の日和あり」のことわざのとおり、安値で買い集め、一気に芽吹く時を待つ方法が、親子上場解消とTOBを狙った投資には向いていると考えられます。

上中康司 拝